人が病院を受診すると、診療記録、検査結果、全民健康保険の請求記録が残りうる。さらにバイオバンクに参加すれば、検体や健康情報を提供することもある。これらの記録はいずれも同じ人に関するものだが、異なる目的で作られており、連結できるからといって自動的に同じ利用権限を得るわけではない。

『2026年バイオテクノロジー産業白書』の355〜361頁は、全民健康保険データ、バイオバンク、医療データの統合を扱う。こうした計画を読むとき、私はまず一つ問いたい。本人は最初にデータを提供したとき、何に同意していたのか。

開発者が製品完成間近になって、データの利用範囲に予定用途が含まれないと知れば、それまでの投資をやり直す必要があるかもしれない。参加者も、データが「医学の発展を促す」とだけ伝えられていれば、自分の記録が実際にどこへ行くのかを知りにくい。

全民健康保険署は、保険データの収集が主に医療費請求に由来すると説明する。バイオバンクへの参加には、別の説明、同意、管理の仕組みが関わる。両者を「ヘルスビッグデータ」という一つの名称に入れると、本人がなぜデータを提供したのか、後の利用がどの条件を満たすべきかを見落としやすい。全民健康保険署のデータ利用説明

同様に、病院が診療記録を保有していても、どの協業事業者もそれを持ち帰って製品のモデル学習に使えることにはならない。協業を議論するときは、まずデータの由来、研究目的、取得の根拠を見分け、次に適用される審査と保護の要件を確認する必要がある。案件ごとに根拠は異なりうるため、一度の協業経験で次の案件を判断することはできない。

データ提供者が一つの研究にしか使わないと考え、開発者がすべての製品へ広げられると考えれば、協業をすでに始めていても、双方は異なる計画を進め続けることになる。

利用停止や参加の撤回で、何が変わるのか

全民健康保険署は現在、保険データの目的外利用を停止するための申請制度を設けている。2026年8月更新の説明によれば、申請の効力発生後、関連データは新たな利用申請に提供されなくなる。この利用停止には遡及効がなく、効力発生前に許可されたデータは引き続き利用できる。全民健康保険署の目的外利用停止に関する説明

ここでの「オプトアウト(目的外利用の停止)」は、特定のデータ利用の範囲に向けられたものである。病院の診療記録を削除することでも、全民健康保険から脱退することでもない。サービス画面に一つのスイッチだけを置き、効力発生日、適用範囲、既存利用の扱いを説明しなければ、利用者は選択しても、その選択が何を変えたかを分からないままになりうる。

バイオバンクにはそれ自体の取り決めがある。「人体生物資料庫管理条例」第8条は、提供の停止、参加の撤回、同意範囲の変更を扱う。すでに得た検体とデータをその後どう扱うかは、条例とその例外条件に従って判断する必要がある。全民健康保険データの目的外利用停止の手続をバイオバンクに直接当てはめることはできず、どの撤回でもすべての研究結果を取り戻せるとも保証できない。食薬署の法規集、印刷頁85、第8条

利用停止や参加の撤回の説明は少なくとも、今日意思を変えた場合にどの利用が止まり、何がすでに取り戻せないのかを人に知らせるべきである。これは一つの「同意する」というチェック欄を設けるより難しい設計であり、だからこそ真剣に扱う必要がある。

データを残したまま、研究はどう行うのか

白書の361頁は、信頼できる研究環境、すなわちTREを提案している。その考え方には、データを管理された環境内にとどめて計算し、アクセス管理と安全管理を組み合わせ、データが任意に持ち出されて使われるリスクを下げることが含まれる。これはガバナンスの方向性であり、すべてのデータ基盤が同じ能力を備えていると判断する根拠にはならない。

データをダウンロードできるかどうかは、違いとして見えやすい。見えにくいのは、ログイン権限、操作記録、分析結果を持ち出せるかである。ダウンロード機能を止めるだけでは、これらの問題を処理できない。

研究者には分析を行うツールが必要であり、管理者は誰が何をしたかを知る必要がある。成果の出力をどう点検するか、研究目的が変わった後に誰へ再確認するかも、利用を開く前に決めておくべきである。

非識別化も、具体的な状況で理解する必要がある。氏名を取り除くのは一つの処理である。他のデータと連結した後に識別リスクが高まるかは、別途評価しなければならない。「非識別化済み」というだけでは、その後の利用リスクを評価する必要がなくなるわけではない。

形式がつながった後

FHIRは医療情報交換の標準である。システムが交換し理解できるデータ構造を提供し、異なるソフトウェアに共通の対話方法を与える。標準化はデータ交換を改善しうるが、データがFHIR形式だからといって、誰かが取得・利用する許可を得るわけではない。HL7 FHIRの構造説明

白書の362頁は一部の病院でFHIR電子診療記録抽出ツールを導入する進捗を記し、364頁は台湾の「医学中心」のデータを100%相互運用可能にする目標を示す。一部の導入はすでに起きているが、全体の相互運用性はなお目標である。

データが円滑に交換できても、研究者は各項目が何を表すか、欠測値がどう生じるか、病院ごとの記録方法が比較に影響するかを理解する必要がある。形式変換を終えることと、研究課題に答えられるデータを得ることは、つながっているが別の仕事である。

一部の差異は、記録を残した人にしか説明できない。臨床スタッフはなぜその時点で検査を行ったかを知り、情報担当者は項目がどう作られたかを知る。研究者がファイルを受け取った後には、こうしたことを聞く機会がないかもしれない。病院をまたぐ協業には、この種の議論のための余地を残す必要がある。

これが、データ協業に時間が必要な理由でもある。申請用途、審査要件、成果のその後の利用を早く明確にするほど、チームはどれだけ投資する価値があるかを判断しやすくなる。参加者には別の説明が必要である。データがどの研究を支えたか、問題があれば誰に連絡できるか、自分の選択が実際に効力を持ったかである。

データ基盤が研究者にファイルをすばやく見つけさせても、本人が選択を行使する場所を見つけられなければ、協業にはなお欠けている部分がある。この部分はデータ件数では表しにくいが、人々が次も提供しようと思うかに影響する。


出典:『2026年バイオテクノロジー産業白書』、経済部産業発展署、2026年8月、印刷頁355〜364。法規と制度は本文中の主管機関の説明に従う。事業の取り決めと信頼の条件は著者の分析である。

データの由来、利用権限、運用を分けて考える
  1. どこから来たデータか

    診療記録、健保の請求データ、バイオバンクでは、当初の目的が異なる。

  2. どの利用が認められるか

    研究目的、取得の根拠、参加者の選択を確認する。

  3. 利用をどう管理するか

    アクセス、操作記録、研究成果の出力を管理する。

本文の論点を整理した図。形式が相互運用可能でも利用権限は広がらない。利用停止や参加の撤回の効果は各制度によって異なる。